【特集】書道パフォーマンス用オリジナル衣装 香川県立高松商業・二宮先生インタビュー

書道パフォーマンスを始めたお陰で、元々の書道も上達した。これは相乗効果ですよね。

近年注目を集めている「書道パフォーマンス」。当社リサラネットのある香川県の高校でも、盛んに書道パフォーマンスの大会が行われています。中でも高松商業高校は、全国大会で過去2回の優勝を果たした強豪校。大会の衣装は、当社が制作しました。今回は書道部の顧問・二宮先生に、衣装について想いや、書道パフォーマンスの醍醐味についてお話を伺います。

紙の街から生まれた書道パフォーマンス


--まず書道パフォーマンスについて教えていただけますか。

二宮先生:書道パフォーマンスは、音楽に合わせて書を書くという書道の表現手法です。特に書いてる過程を見せるというのが、今までになかったアプローチですね。パフォーマンスも、ダンスをしたり新体操的な演技をしながら書いていくというのが新しい。音楽あり、美術的要素あり、そして衣装あり、ダンスあり。パフォーマンス的な総合芸術ですかね。だからウケるし、色んな人が参加できて、人気がある。

その反面、伝統的な書道を重んじる人からは「雑多すぎる」「チョロチョロし過ぎや」「アレは書道じゃない」みたいに言われることもあります。言われるということは、それだけ注目度があるっていうことなんですけど。そうは言っても書道パフォーマンスを認めざるを得ないようになってきたという感じでしょうか。

--書道パフォーマンスの競技会が行われているそうですね。

二宮先生:書道パフォーマンスの大会は年に3回です。中でも最も大きなのが、高校生の全国大会「書道パフォーマンス甲子園」です。この開催地が愛媛の四国中央市。これは元々、書道パフォーマンスが不景気に喘いでいる街を盛り上げようと、四国中央市の三島高校の書道部が始めたものだからなんですね。四国中央市は紙の街。大王製紙とかのお膝元ですから、地元特産の紙を使って、商店街の四辻とかで書道パフォーマンスをしたんですよ。

それがTVに取り上げられたりして知名度が上がって「書道パフォーマンス甲子園」に発展したんです。2008年の第1回大会の参加校はたった3校だけだったんですが、回を重ねる毎にどんどん参加校が増えて。2018年の大会では、全国から116校も応募があるまでになりました。2010年に公開された、成海璃子が主演した書道パフォーマンスの映画「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」の影響も大きかったんじゃないでしょうか。

みんなが同じ字体になるように、とことん反復練習をさせる


--書道パフォーマンスの指導はどんなことをされてるんですか?

二宮先生:反復練習をとことんさせることです。パフォーマンスで1人が書く文字は高々3・4文字なんですけど、動きながら書くって難しいんですよ。でも何十回、何百回も同じ作業、動きを何度も繰り返して書くと、筋力ができてきます。それにブロックを重しに使うとかの作業をしてたら、足腰も強くなりますしね。

それと作品は後に残る物なんで、良い物を書きたいっていう欲が出て来ます。書道パフォーマンスをするのはチームですけど、良い物を書くには1人でやる「個」の作業も大切にせないかん。書道には昔の書家の字を似せて書く「臨書作業」っていうのがあるんですけど、それを一所懸命するようになりましたね。

例えば、中国の唐の時代の顔真卿(がんしんけい)という人が石碑に書いた拓本や、日本の空海が書いたものを「じゃあ今日はこれをみんなで練習しよう」って言うて、同じのをみんな同じように練習していくと。まず基礎として同じように書けるようになること。

書道パフォーマンスの作品は、何人もが別々の字を書いているのに、字体が同じでしょ? 練習をすれば、全員同じように書けるようになるんです。書道パフォーマンスを始めたお陰で、元々の書道も上達した。これは相乗効果ですよね。

高校の書道部なんて3年ないですからね。2年半マックスで、この2年ちょいで書道の何千年の歴史の何を学ぶのかって。ダイジェストで見ていこうぐらいですよね。将来的に「昔一生懸命やったやつを、またやってみたいな」っていうきっかけを残してくれたら。

--香川県内でも書道パフォーマンスの大会は行われていますか?

二宮先生:2012年から「うどん県 書道パフォーマンス大会」が開かれています。その審査員を引き受けていただいたのが、小森秀雲(しゅううん)先生、大西きくゑ先生、青木幽碩(ゆうせき)先生という香川県の書道界の重鎮3人。

「若い人が書道離れしとるのを、なんとか引き込んでこないかん。パフォーマンスでよーけ集まっとるでないか」と。この方々が審査員に名乗りを上げていただいたのが大きかったですね。それまでマイナスの印象を持たれてた人も、それなら見に行こう、見たらなかなか楽しい、面白いでないかと。

うどん県大会いうのは、香川県高松市サンポートの年内の事業として、ラジオ局のFM高松がメインでやってくれてるんです。この大会があったお陰で、香川県内はどんどんレベルが上がって行ったと思いますね。そもそも全国大会だと、敷居が高すぎて自分たちが出られないというのがありますんで。

ネットで見つけた怪しいコスプレの会社に衣装制作を頼んでみたら


--書道パフォーマンスの内容はどうやって決めているんですか?

二宮先生:ほとんど生徒主導でやっています。ネットから引っ張ってきたものを集めて、テーマに合わせて言葉を作るみたいな。その技術は今の子はずば抜けてますね。高校生だから少しくらい文章が狂ってても、それはご愛敬ですし許される。かわいげがあって、完璧すぎると良くないです。僕が手直しすると「堅いですね」とか言われたりするので、それから手直しはしないようになった(笑)。

そう言っても言葉は大事ですから。書道=言葉なんで、そこは揺るがないように。最後にでき上がった時には、この言葉から全ての波紋を広げて行ったという風には考えています。それがないとハートのない作品になってしまうので。そこがぶれなければ。

それと今は体育もダンスが必須ですから。表現することに慣れてきてる部分がありますよね。恥ずかしさというよりは、みんなに見てもらいたいという方が強くなって来ているでしょう。そういう意味では、衣装は本当に晴れ舞台ですよ。この衣装を着てみんなに見てもらいたいんだと。成人式とか結婚式に通ずる部分ですよね。地味に書を書いてたのが、衣装を着て教室を飛び出して行ったみたいな。

--書道パフォーマンスに当社の衣装をご利用になられた経緯は?

二宮先生:リサラネットさんにお願いする前は、ネットで出来合いの物を買ってアレンジしてたんですよ。オリジナルの衣装を作りたいけど、どこに頼んでいいのか分からなかったんです。それで3年目だったかな? うどん県大会の発起人であるFM高松の木下さんに「衣装を作ってもらえる所ないんですよ」って言ったんです。

そしたら木下さんが「ネットで調べよったら、こんなコスプレの会社がありました。ちょっと怪しいけど行ってみる?」って(笑)。申し訳ないけど、その当時は「コスプレ」っていう言葉がまだ定着してなかったですから。「えっコスプレって? でも覗いてみたいな」って。オーダー衣装の値段も分からないし、とりあえず行ってみようかと。それでリサラネットさんに連絡したら、制作を引き受けていただいた。

その時は恐ろしいことに納期も全然、余裕が無かったんですよ。毎年無いんですが(笑)。1ヶ月は切ってましたよね。いやあ恐ろしい。早めにできたらいいんですけど、やっぱり作品のコンセプトに合わせるから遅くなってしまうんです。

--うちは普段から短納期には慣れていましたから(笑)。

二宮先生:全国大会は大体8月で、全国の高校総文祭の時期とずらすので、はっきりとは決まっていないんです。だから夏休みに入ってちょっと時間が取れる時と、全くない時とある。

--それを解決できるように3Dのデザインソフトを導入しました。今までは平面でしたが、デザインの段階で3Dにするので、ぐるっと全方面を見ることができる。例えば腕を上げた時にここが引っ張られる、みたいな所までシミュレーションができます。ヒラヒラやシェイプもできて、自動的に型紙に分けてくれる。今はサンプルを中国から送るだけで1週間ぐらいかかっていますので、デザインレベルで納期を詰められるのがメリットですね。それで時短ができれば。来年にはお見せできると思います。

二宮先生:楽しみですね。最初に衣装を頼んだときは、ネットでよさこいの衣装をいっぱい集めて「これとこれを合わせて作って欲しい」というリクエストでした。ブルーの衣装がスタートで、白と紫のツートン、それから去年が緑ですね。今は純和風・中華風で行ってますけど、ここから先はどんな衣装がいいのか。機能を兼ね備えたアイテム的な要素があるとか。去年は最後に上を脱いだら色が変わる、早脱ぎみたいな演出でしたけど。

衣装は、パッと印象を決める大きな要素になる


--当社の衣装の良いところは?

二宮先生:スカッとシンプルなところですね。それと伸縮性が良くて動きやすい所も良いですね。十数人が一糸乱れぬ姿勢で書くってなった時に、衣装の色合いを含めてマッチングする。統一感のある動きっていうのが、僕らのテーマなので。書道パフォーマンスで何を見せたいかっていうと、やっぱり書いてる姿なんです。

--うちも衣装制作をやるうちに段々分かって来ましたから。最初は帯とかデザイン的なものに凝ったりしたんですけど、動きが難しかったりして。そんなノウハウが蓄積されてきています。

二宮先生:サイズが合わなかったりとかね。サイズを測ってたはずなのに、いざ着てみたら動けなかったことがあった時も、さっと脇を開けて、動けるようにしてくれた。衣装ができあがった後からの対応は、やっぱりポイントですよね。

これまでリサラネットさんで3回衣装を作りましたけど、デザインはどれもそれぞれ似ているようで全然違うのにも感心しますね。ただ頼む側はどうしても無難になってしまうんですよ。生徒の想いを僕が1回フィルタにかけてしまう。

生徒からリサラネットさんにダイレクトにデザインをお願いしに行って、今後はもっとそちらから提案をしてもらえると良いですね。テーマによって、こういうのが行けるんじゃないかとか、要素や色合いが面白いとか、こういう素材がありますよという風に。

--コストが高くなってもダメですし。

二宮先生:高校生が出せる範囲っていったら、せいぜい1万円ぐらいですよね。袴はいつもほぼ黒で、上だけを替えるようにしてますけど。今後は袴じゃなくて、それに類似したもっと動きやすいようなものが出れば。

かといって、衣装が主張し過ぎてもいけない。メインはあくまで「書」なので、その辺を汲んで作っていただけると。でもまだ過渡期なので、色んなのがあっても良いとも思います。一般のお客さんが見て、面白いものというのを常にキープしていかないと。書道パフォーマンスで、衣装はパッと印象を決める大きな要素になりますので。

--今後の展望を教えて下さい。

二宮先生:文科省が「アクティブラーニング」を提唱してますけど、書道パフォーマンスは完全にアクティブラーニングですよね。言葉を考え、テーマを考え、相手の背景を考えてといったら、すごいことですよ。さらに一生懸命になれて、発表の場がある。※PDCAサイクルを、どんどんどんどん循環させていく。結局普通の書を書く時も考えることは同じです。
※(Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって、生産管理や品質管理などの管理業務を継続的に改善していく手法のこと)

そういう意味では、幼稚園・小・中・高・大・社会人とどの立場でも、香川県で書道っていう風に、ずーっと連携していけるようなスタイルができたらいいなと。書道パフォーマンスは、その中間点としてもってこいですね。

課題は、書道パフォーマンスがこれからどう変貌していくかですよね。方向性をどう捉えていくかがポイントですよ。このままではたぶんいけない。一般の人にウケる、新しい、また見てみたいという、そこの狙いをしつつ、書道の本来の姿も守りつつという。ここが難しい課題ですね。ただ素材はいっばい転がってるんで、どうくっつけるかの作業を、顧問がどうしていくかだけです。そう考えてみると責任は重大ですね。

逆に今度は、書道パフォーマンスでできたシステムを、本来の書道にフィードバックさせることも必要だと思います。対先生で、個と向き合うばかりで書いていくというものを、チームのお互いがモチベーション上げたり批評をしたりとかっていう風にも転嫁できますし。身体で書く動きも、座って書くのにも応用できるでしょうし。必ず良い物がありますので。

--ありがとうございました。


香川県立高松商業高校 書道部顧問
二宮靖之先生プロフィール
■香川県さぬき市志度生まれ、取材当時43才。高商に来て10年目。書道の大学を出て教員になったものの、大学の書道科ではパフォーマンスまでは習わないため、見よう見まねで書道パフォーマンスを模索する日々。雅号は実家のある、さぬき市志度の偉人・平賀源内にちなんだ二宮鬼外。

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